有事の「金」に
投資するには?

新型コロナウイルスの影響で世界的に経済が打撃を受けるなど、平時から逸脱したいわゆる「有事」には、金投資が注目されてきました。なぜ金は有事に力を発揮するのでしょうか? また、金への投資にはどのような方法があるのでしょうか?

金投資とは?

「金」といえば、金貨、金の延べ棒、ネックレスなどの装飾品が思い浮かびます。このような現物を資産として持つこともできますし、「金」を投資対象とすることもできます。

金も株や債券、通貨と同様に価格が変動します。しかし、金の特徴はなんといっても世界共通の資産としての価値があるという点でしょう。株式や債券は、発行体が倒産または財政難に陥った場合には、価値が大幅に下落する可能性があります。一方、金は現物があるがゆえの安心感があります。そのため戦争や紛争、急激な景気後退など、世界が混乱すると金の人気が高まり、金の価格が上昇する傾向にあります。これが「有事の金」といわれるゆえんです。

金への投資は、その値上がり益を狙うというよりも、万が一のときに、資産が目減りするリスクを抑える役目が大きいといえるでしょう。利息や配当を受け取る商品ではなく、現物で保有すると紛失・盗難のリスクがあるということがデメリットかもしれません。

有事の際の金相場

有事の金ともいわれているわけですが、有事とはどのような状況のことでしょうか? 大辞泉(株式会社小学館)によれば「戦争や事変など、非常の事態が起こること」ですが、非常の事態としては災害などによる甚大な被害を受けたときや、経済的危機なども有事とされます。2020年の新型コロナウイルスの感染が拡大したことによる世界的な経済危機もまさに有事といえるでしょう。

では、有事の際に、実際の金相場はどのように動いたのか見てみましょう。まずはリーマンショックです。2008年9月、リーマンブラザーズの破綻を契機に世界的な株価下落、同時不況となったものです。

リーマンショック時のNY金先物とS&P500の推移
(2007年1月1日~2009年12月31日)
リーマンショック時のNY金先物とS&P500の推移(2007年1月1日~2009年12月31日)

(データ提供:ウエルスアドバイザー株式会社)

過去の値動きを基にしたチャートであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。

金価格の代表的な指標であるNY金先物(*1)とS&P500(*2)のチャートです。

(*1)ニューヨークにあるCMEグループが運営するニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引される金先物相場

(*2)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が選定する米国市場を代表する500銘柄で構成される株式指標

NY金先物の推移を見ると、2008年10月に大きく値を下げていますが、それから急回復していることが見て取れます。一方、S&P500は2009年3月まで下げ続け、それから緩やかに回復しました。

次に、2020年3月の新型コロナウイルス 感染症拡大の状況下での変動を見てみましょう。同じくNY金先物とS&P500の推移を比較します。

新型コロナウイルス感染症拡大時のNY金先物とS&P500の推移
(2019年5月1日~2020年5月29日)
新型コロナウイルス感染症拡大時のNY金先物とS&P500の推移(2019年5月1日~2020年5月29日)

(データ提供:ウエルスアドバイザー株式会社)

過去の値動きを基にしたチャートであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。

NY金先物は2020年3月に大きく下落するものの、急激に回復していることがわかります。一方、S&P500は回復のスピードが緩やかです。

このように金の値動きを比較してみると、金のほうが下落前の価格に早く近づくことがわかります。一時的に下がることはあってもその間持ち続けていれば大きな下落はなかった、ということになります。

金投資はファンドでもできます

金へ投資する代表的な手法には、「現物購入」「純金積立」「投資信託」があります。 現物には金の延べ棒などの金地金や金貨があります。手元に置いて眺める楽しみがある一方で、管理や保管の手間がかかり盗難のリスクもあります。

純金積立は、毎月一定額の金を購入し続けるものです。毎月1,000円からなど比較的手頃な金額ではじめられるのが魅力です。一定の量に達すると地金や金貨にすることもできます。なお、保管方法は「特定保管」と「消費寄託」の2通りがあります。「特定保管」は取扱会社が積立加入者の金を自社の資産とは別に保管(分別管理)するため、取扱会社が倒産した場合でも資産保全の安全性が高いといえますが、「消費寄託」には取扱会社が倒産すると、それまでつみたてた金が戻ってこないというリスクがあります。

投資信託には、国内の純金上場信託(ETF)に投資するものや、海外(ロンドン)の金価格に連動するもの、金鉱企業の株式に投資するものなどがあります。現物は引き出せませんが、他の投資信託と一緒に投資信託口座で管理ができるので、市場の動きをみながら金と他の資産との包括的な管理がしやすいのが魅力です。タイミングを見て売買する以外にも、一般的な投資信託と同様に定期的なつみたても可能です。

残念ながら有事はいつか起こります。有事の際のリスク軽減のために、金投資を資産運用に活用してはいかがでしょうか?

以降に、純金/金鉱企業等へ投資するファンドの投資信託を載せています。

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(2024年1月4日現在)